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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《1》

第55章 全中予選





誠凛の試合見れるかなーとルンルンした気持ちで体育館に到着すると試合は既に始まっており、なんなら後半戦だった

誠凛と霧崎第一の試合、何が起きるか知っているのでテツヤに気が付かれないよう唾をのみ声をかける


『やっぱり試合始まっちゃってたか…どうする?せっかく後半全部見ていく?』

「…いいんですか?」

『征十郎には連絡しておくから』

「ボクは構いませんけど…」

『へへ、たまには一緒にサボっちゃおー』


征十郎には「手に汗握る戦いなので見届けてから戻る」とメールを送っておき、テツヤと適当な席を見つけて並んで座る

日向さんのシュートが緑間のように決まり点差はどんどん開いていく

これはもう誠凛の勝ちで決まりかと観客の誰もが思った時、選手交代の笛がなった


「霧崎第一、選手交代です」

「点数かなり差があるのに…今さら交代ですか?」

『残り1分で10点差…確かに今さらって感じだね』


出てきたのは花宮真、無冠の五将の悪童と言われる男だ
彼に警戒する伊月さんは彼からのパスによる得点を許してしまうがそれでもまだ8点差

そのまま試合は続いていく。残り時間僅かの中で行われるリバウンド勝負に跳んだ木吉さんを見て、霧崎第一の次期主将こと花宮が指鳴らしをする

きっと周りは気が付いていないが、彼の指慣らしに合わせ霧崎第一のセンターも跳んだ
そして着地の際に誠凛のエースこと木吉さんの膝に相手センターの膝がぶつかった

崩れ落ち、膝を抱え声にならない叫びをあげる木吉さんを見るのは辛いが、目に力を入れて視線を逸らさず彼を観察する


「今の…!」

『うん、結構なダメージを負ってる…』

「…わざとだとしたら、許せませんね」


表情には出していないものの、テツヤはいつもより低いトーンで話す
そりゃあ自分の好きなことを悪用されて嬉しいと思う人はいないし、彼はスポーツマンシップが誰よりも高い

担架で運ばれていく木吉さんを見ながらそんなことを考える

さすがにあたしでも、手を出していないことまでのことは変えられなかった






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