第54章 みんなで帝光祭
終了まで残り1時間、ある程度人が捌けてきて他校の生徒もこの時間に来るようで、チラホラ高校生や同年代の中学生が見えてきた
和成も来てたので別に他校の人が来るのは珍しくない
だがこんなことに巻き込まれるとはと、怒りで表情がどうにかなりそうなのを押さえながら無表情を続ける
「ねーねー、バスケ部の聖母の名前ちゃんだっけ~?」
『…はい』
「このままどっか出掛けなーい?何でも奢るよ~?」
『結構です』
「そんなこと言わずにさー」
明かガラの悪い2人組にこいつの腹大輝みたいに殴っちゃダメかなとニコニコしながら考える
でも彼らも律儀に行列に並んだんだろう
そう思うと灰崎みたいに可愛く見えてくると何とか言い聞かせていると、相手の右手があたしの太ももをまさぐってくる
気持ち悪いという感情が心から溢れ出す。殴りたいけど問題起こしたくないので我慢我慢と、彼の手をぎゅっと握り太ももから外した
「ねー?行こうよ~」
『無理です』
「いいじゃん。バックレちゃおうよー」
「やめてください」
「あ?」
『…テツヤ』
「女性の嫌がる人はしないで下さい
うちのクラスは模擬店であり、本物のお店ではありません」
移動の途中に2人組に声を掛けるテツヤにこういう時本当に彼は男前だなと思う
しかし彼らは立ち上がり、テツヤを見てにやにやと笑いながら「ひょろいのが出て来てもねぇ」と舐めた表情で言った
あたしのことは知っているのにテツヤのことは知らないのかと、良くない雰囲気を汲み取って立ち上がるとさらに移動途中の紫原が立つ