第54章 みんなで帝光祭
お昼ご飯の休憩も終了し、店番に戻る
午前と変わらない忙しさに忙殺されそうになりながら指名されたテーブルへ行くと、誰がこんなことを考えていたのだろうか予想していない人が座っていた
『ご、ご指名ありがとうございます』
「ああ、待っていたよ。橙崎の娘」
そこにいたのは前回会ってから半年以上経っている征十郎のお父さんだった
なぜここに居るんだ?そして自分の息子じゃなくてなんであたしを指名しているんだ?疑問にと思いながら席に座る
『なんであたしを指名したんですか?』
「普段征十郎とは家で喋っているからな、君と話がしたくてね」
『また呼んでいただいても良かったんですけど…』
「君はバスケ部の監督になったんだろう?ならばそんな訳にはいかない」
『いや…監督って言っても名前だけなんですけど』
やってることはほとんどマネージャーの時と変わらないんだけどなと思いながら彼とも雑談を交わす
愛想笑いを浮かべてはいるものの、内心はとても焦っているのが自分でも分かり喉が渇き始めた
「ここお菓子も頼めるのか、注文しよう」
『ああ、ぼったくりのお菓子盛り合わせが…すみません』
「食べるといい」
『え、ええ?あ、ありがとうございます。いただきます…』
誰がこの5分間の間にお菓子を食べるんだ。絶対終わった後みんなで分けることになると思っていたお菓子の盛り合わせがまさかの目の前にある
盛り合わせとか言っているが全然量がないそれはどう考えてもぼったくりで、征十郎のお父さんが食べないので仕方なく手を付け食べ始めた
「…橙崎の娘はずいぶんと綺麗になったな」
『いやいや征十郎の方が明らかに綺麗ですよ』
「赤司に嫁ぎに来ないか?」
『征十郎と一緒で冗談が下手ですね』
「君なら征十郎もきっと賛成すると思うのだが…」
『腐れ縁なだけですって』
そんな会話をしていると出入口に赤髪が見えた
ちょうど休憩が終わったんだろう。征十郎がこの異様な席を見て驚いた表情をし、こちらへ向かってくる