第54章 みんなで帝光祭
ちょうどそこにドアの向こうに黄色い髪が通る
今日1番の大声を出すため酸素を吸い込んだ
『涼太!』
「うるせっ!」
「呼んだっスか!?って…青峰っち何やってんスか?」
「…本当に来んのかよ」
『わんこだから』
ちょうどいいところに通ってくれた。今彼と2人はよろしくないと涼太を手招きして座らせる
ついでに反省しろという意味を込めて大輝の横っ腹に1発パンチをお見舞いさせてもらった
「痛ぇ!」
『大輝が悪い』
「え、青峰っち何したんスか?」
「訴訟沙汰」
「オレの名前っちに何してるんスか!許さないっスよ!」
『涼太のじゃないってば』
涼太と大輝と共にギャーギャー騒いでいると、扉がガラガラと音を立てる
何事かと見ると昼ご飯を抱えている緑間が帰ってきた
そうだ先ほどパシったんだと、スーツに焼きそばとかのパックが合わなくて笑ってしまう
「…何をやっているのだよ」
『緑間。お帰り』
「お、焼きそばか?」
「オレの分もあるんスか!?」
「足りないと言われたら困るので多めに買ってきたのだよ」
「さすが緑間っち!」
『ちょっと、スーツ汚さないよう気を付けてね』
焼きそばを食べる涼太と大輝のことを見ながら緑間からあたしの分のお昼ご飯をもらう
手に置かれたのは2人が食べているものとは違って、甘いものだった
『クレープ?』
「た、たまたま目についただけなのだよ」
『えーありがとう緑間意外だった』
「礼には及ばないのだよ」
1個しか買ってきてないということはわざわざあたしのために買ってきてくれたんだなと、緩む頬を頑張って普段通りの顔にするようにと努力する
彼も眼鏡のブリッジを上げ、その様子を見ながらさすがはツンデレ!と心の中で喝采しておいた
『じゃあ食べよ。急いで』
「ええ!?急いで食べると太るんスよー?」
『他のみんなも休憩させなきゃダメでしょ』
あたしも受け取ったクレープをドレスを汚さないよう気を付けながら頬張っていく
なぜ緑間がクレープを買ってきたかは分からないが、疲れた体に甘いものは染みた