第54章 みんなで帝光祭
「桃っち!名前っちは一緒じゃないんスか?」
「名前ちゃん?まだ準備から戻ってきてないんじゃないかな」
「本当っスか!?オレ迎え行く!」
「オレも名前の姿は気になるから行ってみるかな」
「ならボクも行きます」
なんでテツヤまで来るんだと驚いていると一緒に来たヘアメイクをやってくれた子が「ほら探されてるよ」と肘でつついてくる
やだなあと考えていると、彼女が少し空いていたドアを勢いよく開ける
そんなドアを開けたことにより目の前にいる涼太とクラスから一気に集まる視線、去年の体育祭の一事件並みに緊張してしまう
「ほら名前ちゃん、入んなよ」
『え』
「え」
「…名前かい?」
いつもと様子の違う彼らを前にどうすればいいのか分からなくなってマントを引っ張りながら俯く
「名前っち!?マント取ってもいい?」
『ちょっと、自分で取るから…勝手に取るな征十郎!』
「すまない好奇心が勝ってしまった。似合っているよ」
「はい。よく似合ってます」
奪い取ったマントを綺麗に畳み征十郎も、ニコニコしている涼太も、微笑んでいるテツヤも、今日ははいつもと服装も髪型も違ってなんだか変な感じだ
彼らに見られたしもういいかと、教室の中に入ると廊下と同じように視線が刺さる
「うおお!めっちゃ綺麗になってる!」
『…は? 』
「可愛い…て言うより色っぽい!」
「…やばい。後で指名しようかな」
『知らない人に指名されるくらいならクラスメイトに指名されるわ』
「あ、名前ちんだ~」
「なっ…苗字だと!?」
『緑間、紫原、今日カッコいいね』
「名前ちんも似合ってんね~」
「…フン」
『おお何とか言いな緑間見惚れて言葉も出てこないかな?』
「馬子にも衣裳なのだよ」
『褒めてないだろ。大輝は?』
「あっち~」
「人を指さすんじゃない紫原」
緑間の言い分は間違いないが、彼の指のおかげで彼はすぐに見つかった