第53章 修学旅行 後編
「うおっ、着いた!」
「青峰っちアドバイスもなくどうやって辿り着いたんスか!?」
「勘」
「…すごいですね勘でおよそ10m先の石を当てちゃうんですよ」
「青峰君のことだから目をうっすら開けてるんでしょ!」
「開けてねぇよ!」
『次誰行く?』
「え~オレやろっかな~」
紫原は石の前に立つと目を両手で覆い歩き出すが、右にいったり左にいったり千鳥のように歩く
周りの人にぶつからないかヒヤヒヤしていると、どうやら緑間も同じ心境らしい。息を呑んでいた
「…紫原はすごい歩き方をしているな」
「えーほんとー?どれー?」
「1つしか場所はないのだよ」
「紫原っち、右っス!右!」
「えー、こっち~?」
「そっち左っス!」
「…目を閉じんとどっちか分かんなくなんのか?」
「ここ~?」
「そうっス!」
「着いた~」
『…紫原は友人からの助けが必要みたいだね』
これがどのくらいの効力があるかは知らないが結論着いたのであればいいのだろう
次は誰が行くのかと見渡すとさつきと目が合う。彼女が行くのかと思いきや「オレが行くのだよ」と眼鏡のブリッジを押す緑間が前に出た
『え、緑間もやるの!?』
「おれはいつでも人事を尽くすだけなのだよ。悪いか」
『いや…意外だったから…』
今日も相変わらずラッキーアイテム持ってる彼はスタスタ目を瞑って歩き出す
真っすぐ向かっていた彼の調子は最初いい感じだったが、ほんの少しずつずれて行きわずかに石の横を通りすぎる