第53章 修学旅行 後編
「ここが恋愛の神社っスね!今すぐ両思いを願いに行くっス!」
『その前に清めよ』
「もちろんっスよー!」
恋愛の神社って言われても何をお願いすれば良いのか分からないが、とりあえず清めることにする
「あそこにある石って…何かな?」
「説明が書いてありますよ
恋占いの石、ご本殿の前の左右にある守護石で両目を閉じて反対側の石にたどりつくことができれば、恋の願いが叶うという
一度でできれば願いは早く叶い、できなければ願いが叶うのも遅れるという
また、友人などのアドバイスを受けると願いを成就するにも人の助けがいると言う」
「…長ぇな!」
「読むのが疲れました」
『これが言いたいのは、この石から向こうの石まで1発で辿り着ければ願いが早く叶って、ダメだったら遅くなるよパターン?』
「あとは友人から右、左などのアドバイスを受けると願いを叶えるのにも助けが必要となる。ということだね」
「オレ!オレ最初に行くっス!」
『ガンバレー』
「棒読み!?桃っち!ものすごく変な方向に行ってたらアドバイスよろしくっス!」
「任せて!」
あの2人は恋愛同盟か何かを結んでいるのだろうかと疑問に思った会話を気にしつつ、涼太の様子を見る
やけにふらふら歩いている彼はいつもの運動神経どこに行ったという感じだが、さつきが頑張って「右!左!」と指示を出す
「ここっス!」
「きーちゃん、違っ」
「なぁぁぁぁ!?ズレてたっス…」
『…次行く人ー』
「あー、じゃあオレ行ってやるよ」
『…大輝って好きな人いるの?』
「細けーことは気にすんじゃねぇよ!」
居なくても記念にやったりもするかと彼を見守っていると彼は本当に目を瞑っているのか不思議なくらい真っ直ぐ迷いなく、見事もう片方の恋占いの石に迷うことなく辿りついた
確かに彼は高校で目を瞑ってもテツヤの気配で動いてボールを止めたりしている
運動神経に関しては間違いなく彼が優れているのだろうと思いながら、向こう側に到着した大輝は目を開けた