第52章 修学旅行 前編
心配するようなことはないかと、彼女を見習い髪の水気をタオルで取り始めるとさつきはまだ恋バナをしたいらしく話題を投げてくる
「虹村さんは?告白されてたよね?」
『断らせてもらった。誰とも付き合う気ないって』
「…ほんとにないの?」
『ないよ』
さすがにこれでさつきは誰とも付き合う気がないというのが本当だと分かったらしく、ドライヤーをかけ始める
彼女がかけ終えたらあたしもかけるかとたまには念入りにタオルで水気を取り、しっかり乾かした
「明日何時起床だっけ?」
『6時、その後はご飯食べて各班で行動』
「さすが名前ちゃん!」
『いやしおりに書いてあるし』
「そんなの全部覚えてないよー」
合ってるよなとしおりを開いて確認すると、間違ってなかったので安心する
別に朝練がある時と変わらないので起きれるか心配ではないが、明日の自由行動が心配になってきた
何となく脳内でどんな風に動くかシミュレーションをするが、どんどん悪い方向に進んでいく
『不安しかないだろ!』
「きゅ、急にどうしたの!?」
『班が不安過ぎて…胃がキリキリしてきた』
「…ムッ君迷子になりそうだもんね」
『紫原なら大きいからまだいいよ
緑間がラッキーアイテムでどーにかならないかとか…大輝が自分勝手な行動しないかとか…』
「青峰君は昔からだから…」
『問題はテツヤだよ!あの人影薄いのに、迷子になったらどうすんの!?』
「て、テツ君!?」
『幻の6人目人混みの中で探すの大変らしいんだよ!?』
「私がテツ君探知機で探す!」
『て言うかその前にうちの学校、修学旅行ケータイ持ってきていいから持ってるんじゃない?』
「あ」
『…大丈夫だね』
「うん」
あとは携帯の充電が切れないことを願おうと、再度携帯に充電器が刺さっているかを確認し布団に入る
そのままさつきと話している内に、気が付いたら寝てしまい修学旅行1日目が終わった