第52章 修学旅行 前編
その日の夜、宿泊先は2人部屋でさつきと一緒だった
大部屋だと楽しいけど夜まで騒ぎそうだからちょうど良かったと、お風呂を上がってベッドにダイブする
『…疲れたぁ』
「名前ちゃん緊張しなかった?」
『あー、まあちょいちょいした』
「中学校最大のイベントだもんね!」
『…そうだよねー』
枕が濡れると起き上がり目線をさつきの方に向けると、濡れた髪をタオルで水気を取っているようだった
昔は肩下くらいだった彼女の髪も、今はあたしと変わらないくらい長い
あたしも乾かさなきゃなと思うがなんだか身体がだるい。いつもに比べて動いていないはずなのに
『さつき見習ってもう少ししたら乾かさなきゃ』
「すぐ乾かさないとだめだよ!」
『分かってるんだけどー…髪長くて…』
「恋すると女の子は変わるの!」
『ははは、じゃあ無理かも』
「ねえ、あれから名前ちゃんほんとに何もないの?」
『…髪がオレンジ色に変わった?』
「そうじゃなくて、恋!」
『新幹線の中でしたじゃん』
「え~、せっかく女子2人なんだから恋バナしようよ!」
『そう言われても…恋ねぇ』
「じゃあ私なんだけどー」
『あ、それは知ってるから大丈夫』
テツヤに惚れた理由も、テツヤにどれだけ惚れてるかもよく知っている
こんなに一途に思われて彼は幸せ者だろうと優しい表情で彼女を見ていると、さつきは顔をボッと赤くさせながら何か言い訳を始めた
『今さら言われても…』
「だだだだだって!」
『あれだけアプローチしてれば分かるよ』
「でも名前ちゃんならテツ君とられてもいい!」
『いいんだ!?』
「うん!名前ちゃんだもん!」
どういう原理だと考えながらテツヤを思い浮かべる
今日のあの会話上手く逃げることが出来たが彼はどう思っているんだろうか、口が固い彼だから言いふらすとかはしないだろう