第52章 修学旅行 前編
そのままトランプ大会は征十郎を除き白熱した
遊んでいるうちにあっという間に奈良に辿り着き、東京じゃ滅多に見られない動物と睨めっこする
「奈良っスよ!鹿っスよ!!」
『涼太、鹿せんべい食べる?』
「ヒドッ、オレいつ人間になれるんスか」
「鹿せんべいっておいしいの~?」
「人間が食べても香ばしいだけだ。味はほとんどないのだよ」
「じゃあいらなーい」
『…鹿って付いてるんだから食べようとしないでよ』
せっかく来たんだからあげてみたいと鹿せんべいを購入し鹿に餌付けをする
さすがに紫原が食べたいと言ったらどうしようと思っていたが、美味しくないなら食べないとチャレンジ精神がないようでそこは安心した
「あ、鹿が寄ってきました」
『テツヤって動物に好かれるよね』
「…そうですか?」
『黒豹か狼と犬とか』
「…黒豹か狼って、青峰君ですか?」
『それ以外に誰かいる?
「ひでぇな!」
「じゃあ犬は黄瀬君ですね」
『正解』
「ちょ、オレ犬じゃないって何回言えばいいんスか!?」
『…でー、紫原が熊っぽい』
「オレ無視なんスね!?」
「あ!分かる!私は私は!?」
『…うさぎ?』
「やった!」
喜んでいるさつきを見ながら他の4人は何かなーと適当に動物探してみる
とりあえずこの中にイメージが鹿っていうのはいないなあと思いながら、寄ってくる鹿にせんべいを与えた
『あ、緑間はロップイヤーのうさぎ』
「なぜそんな可愛いものなのだよ」
『自分の長い耳がラッキーアイテムっぽい』
「…」
『で、テツヤが大人しい猫』
「…猫ですか?」
『もちろん子猫ね!犬でもあり!』
少々テンションが下がったように見える緑間とテツヤに罪悪感を感じながらせんべいをあげ終わったので見学する方へと進んでいく
テツヤには2号がいるから犬でもいいんだけど普段いたりいなかったりするところが猫っぽいんだよなと彼を見ながら考える