第8章 夏祭り
気が付けば訪れていた夏、帝光は全中地区予選を問題なく突破し全中出場を決めた
残念ながら帯同マネージャーには選ばれなかったのでさつきと予定が合った日に応援にいった。キセキ達も活躍していたのは記憶に新しい
そんな日々を送っていると、気がつけば1学期は終わりを迎えていた
部活がなく午前中で学校が終わり、まぶしい日差しに照りつけられながら征十郎と帰路を歩く
『明日から夏休みかあ、早いね』
「ほとんど部活だけどね」
『そりゃ全中前なんだからしょうがないでしょ』
とは言うがほとんど部活で夏休みの予定が埋まっているのは悲しいが、部活がなかったら遊ぶ予定があるのかと聞かれればない
去年もさっさと宿題を終わらせて征十郎がバスケに行く日や雪さんが買いものに行く時だけ外に出たくらいだった
今年は部活がある日だけ外に出ることになりそうだなと考えてながらアスファルトの道を歩いていると、家が見えてきた辺りで彼が口を開く
「一緒に夏祭り行かないか」
『…は?』
「昔行っただろう?」
そういえば夏祭りがすぐあったと思い出すが、彼が言っているのは彼のお母さんが亡くなる前の話だ
ここ最近、いや数年の間彼は学校以外自由がないと言っても過言ではない
遊園地の時も彼はお父さんに反対されたのか心配だったが、今回も心配だ
『え、平気なの?』
「何がだ?」
『…お父さん?』
「ああ。大丈夫だよ」
彼が大丈夫と言うならいいだろう。夏休みに部活以外の予定が初めて入る
そんな会話をしていれば見えていた家が目の前にある。足を止めると明日の予定の確認が始まった
「迎えに行くよ」
『待ち合わせでもいいよ?』
「熱中症で倒れられたら困るからね」
『そっくりそのまま返すけど』
そのまま何時頃かを決め彼は来た道を戻っていく。まだ明るいから送ってくれなくてもいいと断っているのだが彼は大抵送り届けてくれる
小さくなっていく彼の背中を見ながらジリジリ焼かれる。明るいせいかいつもより長く見えた彼の姿が見えなくなったところで家の中に入った