第49章 合宿2日目
翌日、何事も無かったかのように元気に起きてきた選手達を観察する
ハズレを引いた人も問題なさそうだったので一安心していると、髪があっちこっちに跳ねているテツヤがやってきた
「おはようございます。朝から観察ですか?」
『おはよーテツヤ…去年と変わらず寝癖ひどいな』
「仕方ないんです」
『じゃあほら、直してあげるよ』
「…いいんですか?」
『うん、あたしの部屋でいいかな?スプレーとかあるし』
「女性の部屋にお邪魔して大丈夫ですか?」
『寝癖直すだけでしょ?』
「そうですが…」
『大丈夫だからおいで』
「じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます」
『うん。行こ』
席を立ってこっちだよと歩き出す
そもそも彼は高校のプールの話の際に水着姿のさつきに抱きつかれても反応しなかったから、テツヤとそういうことになる気が全くしない
いやそもそもなりそうになったら虹村先輩を降臨させるしかないと必要なさそうな決意をし、彼と歩き続ける
「名前さんの部屋ってどこですか?」
『テツヤ達と同じ階の1番端』
「なるほど。だから立ち入り禁止だったんですね」
『ま、そういうことだよ』
どうぞとドアを開けてテツヤを中に入れ適当に椅子にすわってもらい、自分のカバンから寝癖直しスプレーなどを取り出す
『じゃあ失礼するね』
「お願いします」
『ほい』
スプレーを使って彼の髪を湿らせて髪をわしゃわしゃと撫でドライヤーで上から温風をかけると、テツヤの髪の寝癖のボリュームが減った
「…このスプレー、名前さんの香りがします」
『え、どんな香り?』
「名前さんの香りです」
『よく分かんないな』
こんな香りなのかなぁと自分の長い髪を一房取るがなれてしまっているのかよく分からない
ただ異臭とかじゃないので安心し、残っている寝ぐせの箇所に再度スプレーをかけていく