第48章 最後の合宿
『それで心理戦って?』
「黒子はまず、真っ直ぐ悩まずにデザートを取っただろう?」
「うん。まるで答えを知ってるみたいだったー」
「まずそれです。前の人がパッと悩まずに取りに行くとそれが正解なんのかもしれないと人は不安になるそうなんです」
『それだけでなるもん?』
「それともう1つ、人は自分の持っている物よりも相手が持っている物の方がうらやましく見えるらしいんだ」
「青峰君は食べ物となるとそのことが多かったので…普段からの観察が役立ちました」
「すげー黒ちん、オレとは別の答えの出し方してる~」
『しかも理論的にね』
すごいなぁと感心していると何かが引っかかっているような感覚がする
テツヤ達が言っていたことを思い出すと彼は大輝から交換を申し出されるところまで分かっていた
つまり彼は外れを持つ必要があり、どっちが外れかわかっていなければいけない
『テツヤは最初から、どっちが当たりか分かってたの?』
「はい。名前さんが置き直す際交互に当たりはずれを置いていたのは分かりました」
『すごいね、びっくりした』
「…よくそこまでたどり着いたな』
「日頃の名前さんを見てると分かりますよ」
『馬鹿にしてるでしょ』
「してないさ」
「名前ちん、デザートのおかわりは~?」
『後少し残ってる』
「全部食べてもいい~?」
『…食べれるならどうぞ』
「食べる~」
ほわほわした雰囲気をまとう紫原に追加でデザートを渡す。スタメンなのに外れを引かせて可哀想かと3つは残し、あとは紫原に渡す
その姿をみたテツヤがほほ笑んでおり、何事かと思いながら席に着くと思っていただろうことを口に出した