第86章 ヒーリング・アイ
あたしの言うことに疑問を持ったのか、頭上にクエスチョンマークを浮かべる紫原
自分のことなのに、気づいてないのか?
それとも、あたしを疑っているのか…
「別に俺、膝痛くないんだけど~」
『いや、あたしもよく分からないんだけど…紫原の膝の数値が、悪く見えるんだよね』
「…紫原くんの、数値ですか?」
『うん。何でだろうね
やっぱり何か髪とか眼とかと、関係あるのかなぁ…』
くるくるとオレンジ色の髪をいじりながら呟くと、テツヤはなぜかあたしの頭に手を置いた
そしてなでなでと撫で始めた
「#NAME1#さんの眼なら恐らく偽りは無いと思います
紫原くん。とりあえず練習はストレッチだけにしてみませんか?」
「…言われなくてもそうするつもりだったし」
「なら大丈夫ですね」
『…テツヤ、ありがと』
「いえ、大丈夫ですよ」
相変わらずあたしの頭を撫でるテツヤ
その感覚が妙に嬉しく恥ずかしく、くすぐったかった
「監督、バスに乗るため人数確認を」
『あ、全員いますよ
確認しました』
「…今か?」
『今です
えーっと、バス乗るから1列に並んでー
征十郎はあたしの隣だけど、いい?』
「構わないよ」
『じゃあよし、どんどん中入ってー』
選手達に指示をして、バスの中へと入ってもらう
…何かこんなとこだけ、監督みたいだよね