第48章 最後の合宿
デザートをジッと見つめる紫原の様子からすると、嗅覚を使って調べているのではないかと推測する
確かに材料は違うものを使ってるから鼻が良ければ分かるかもと考えていると、無造作に取り上げた
「これ~」
「紫原はそれか」
「…おいし~!名前ちんやっぱ料理上手だねー」
『ありがと』
「紫原なんで分かったんだ!?」
「これからいい匂いがしたからって取ってみたら当たった
あと名前ちん最後に匂い消すのにバニラエッセンス使ったー?」
『うん。嗅覚いいね』
「だからか~、なかなか分かんなかったー」
「…よし次だな。青峰と黒子、どちらから先に行くんだい?」
「テツ」
「ボクです」
残るは2つ、両方とも作成者は違うためどちらかは必ず外れを引くことになる
「てかこの中に苗字が作ったのあんのか?」
『あるよ。ラスイチ』
「うん。あるある~」
良い展開になってくれたと感心していると、征十郎が何かを思いついたのかふわりと微笑む
この状況じゃいいことじゃないだろうと推測しながら、綺麗な彼の顔を見つめた
「最後に1人で食べるのは寂しいだろう。2人いっぺんに食べたらどうだい?」
「…そうするか」
「はい」
そう言われたテツヤがデザートを取りに行き迷いなくパッと取った
こういう男らしいところがさつきは好きなんだろうかと考えながら、残る青峰は残り1つだと言うのにすごく時間をかけてとった
「それじゃあ、行きましょうか」
「ちょ、ちょっと待てテツ!」
「何ですか」
「お、オレの勘だと交換した方がいい気がするから…頼む!交換してくれ!」
『おい。残り物には福がある説どこ行った』
「赤司君、交換してもいいですか?」
「黒子がいいなら」
「ボクは構いません」
テツヤが大輝の申し出を受け入れたため交換し2人ともデザートを手に持った状態になる
お互いに目配せをし「せーの」の合図で口に入れる。喉がゴクリと動いた瞬間に大輝の目が見開いた