第48章 最後の合宿
『なんだ、虹村先輩に教えてもらった技掛けようと思ったのに』
そこまで大きい声で言ったつもりはなかったのだが近くにいたテツヤには聞こえていたらしく、元々丸い目がさらに丸くなっていた
「本当に黄瀬君と青峰君の扱いが上手ですね」
『それ褒めてる?貶してる?』
「褒めてます」
テツヤと2人、並んで涼太と大輝の1on1を見る
涼太に大輝のコピーをしてほしいと頼んでからもう半年経つがどうなんだろうかと彼らのことを眺めているとテツヤが話しかけてきた
「本当に良かったです。青峰君が戻ってきて」
『そんな難しいことしてないんだけどね』
あれから火神と大輝の2人で連絡を取って1on1を行っているのは知っている
それが彼にとっていいことだし、始めたのはこちらだから止める気はない
視線の先でまた涼太と大輝が戦い始め、一部の部員はレベルの違うやり取りに見惚れている
「こんな光景が、いつまでも続くといいですね」
『そうだね』
もうここまで来れば大丈夫だろうかと考えていると征十郎から「帰る」と声を掛けられたのでテツヤに軽く挨拶をして体育館を去る
来週の合宿が楽しみだと会話しながら、彼と2人帰路を歩いた