第7章 遊園地
『…ひ』
R12指定と聞いていたので心構えをしていたつもりだったがやはり引いてしまう。さつきも高い悲鳴をあげて、目が少し潤んでいる
思わず彼女に駆け寄り手を握ると部屋にある4つの扉からガシャッと大きな音が鳴り、驚いて力が入ってしまった
音を聞いた征十郎が入ってきた扉含め開けようとドアノブを回すが、開かなくなっている
「赤ちん、開かな~い」
「こっちも開かねえ」
「こっちもなのだよ」
「こっちも開かないね、どうしようか」
『押してだめなら…横!横にひいてみて!』
「横?うわ!」
征十郎のいる入って来た扉以外すべてが開いた
押してだめなら引いてみろとは良く言ったものだ。こういうことかと納得しながらどの扉を選ぶか協議する
「どこから行くのだよ」
『右かな』
「オレも右がいいと思うな」
「赤司が言うならそうしようぜ」
『あたしの意見ガン無視か?』
「私は名前ちゃんが右っていうから右がいいと思う!」
『さつきは優しいなあ…」
周りの風景に怯えているさつきの頭をなでて、なるべく視界に入れないように右の扉に向かう
しばらく歩いていると薄暗い空間から何かがやってくる。ゾンビだ
「きゃあああ!」
『…そんな高い声…出ない…』
さつきの高い声を聞きながらどうしようかと悩んでいると紫原が前に出てくれる
「怖いなら前行ってあげよっか~?」
「ムッくんやさしー」
「それくらいやらんこともないのだよ」
『緑間ヤサシー』
「どうしてカタコトなんだ」
鉄壁と呼んでも問題ない緑間と紫原の目隠しに、青峰と征十郎に後ろを守ってもらう前後バッチリの状況。さつきと2人なるべく他を見ないように走る
しばらく走っていると後ろを走る青峰から声が上がる
「あ、やべっ!」
「どうしたの大ちゃん!」
「マスクとっちまった、中身おっさんだったわ」
『…返してあげて』
「…おう」
中身は当たり前に人間だ。そりゃあそうだと少し和らいだ恐怖感を胸にそのまま走り続ける
途中臨時脱出口がところどころあったがその扉すら怖くてなんだか触る気が起きないのでなんとかゴールまで行く事ができた