第45章 これってそういう意味?
彼の手の上にはケーキボックスがあり、正面に立った彼はアップルパイを箱から取り出す
「良かったら、食べてくれないか」
『美味しそうだけど、なんでアップルパイ?しかもホール?』
「作ったんだ、昨日」
『作った!?』
「焼いた翌日が食べごろと聞いたからね。おかげで今日の朝いつもより寝てしまったよ」
『違う違うそっちじゃない』
「ああ、名前がりんご飴好きだからアップルパイも好きかと思って」
『それで作る?買いに行かない?』
「せっかくだからね」
それで作ろうとする行動力がすごいと考えていると、彼が8等分に切り分けてお皿に乗せてくれる
あたしの分と彼の2つ。それぞれお皿に乗せ置いた彼は席に座った
「一緒に食べていいかい?」
『もちろん。作ったの征十郎でしょ?』
「名前のために作ったんだ。許可なく食べれないよ」
『そんな気にしなくていいんだけど』
フォークでパイを1口サイズに切って口に入れる。絶妙なパイのサクサク感とりんごのしっとりした食感が広がった
本当に手作りなんだろうかと疑ってしまうほどに美味しかった
こういう才能まで恵まれているのかと、感心しながらまだ手を付けずこちらを見ている彼を見つめ返す
『すごい美味しいよ、お店開いた方がいいんじゃない?』
「開くわけないだろう」
楽しそうに笑う征十郎を見てつられて笑う。そのまま雑談しながらゆっくりパイを食べる
もう1個たべるか聞かれたが家に帰れば夕飯がある。丁寧にお断りさせていただいた