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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《1》

第45章 これってそういう意味?





しばらく歩いていると放送室の前にたどり着く
まさかの先ほど教室にいた人物がその部屋から出てきたので驚いて体が跳ねてしまった


「お、苗字」

『に、虹村先輩』

「どうした?呼び出しか?」

『いや、違う、くて』

「違うくて?」


なんだそれと笑う彼の手にはまだ1つ、確かにクッキーが入っている箱が持たれている

確信に変わってしまったと、考えてはいけないと分かっているのにそのことに意識がいってしまいさらに頬が熱くなっていく


「おい、熱でもあんのか?真っ赤だぞ」

『だ、誰のせいだと…』

「…ふーん?」


今度はニヤニヤと笑う彼が同級生だったら殴っていたかもしれないが彼はしっかり先輩だ。殴るわけにはいかない

負けたような気持ちになったので視線を逸らすと、彼は笑いながら持っていたクッキーを差し出してきた


「余ったからやるよ」

『…余り?』

「チョコもらったやつに彼氏が出来てたんだよ。彼氏に怒られるからって断られたわ」

『義理だったってことですね』

「そーいうことだな」


それとも両方に本命を渡してどっちか引っ掛かればいいとでも思っていたんだろうかと、お礼を言いながらクッキーを受け取る。その際に指と指が触れてしまう

仮にも告白を保留にしている相手だ。なんだか意識してしまってまたも頬が熱くなるのを感じる


「お前のそういう顔、赤司は知らねーんだろうな」

『…ドウデショウネ』

「まだ急かすつもりはねえから、安心しろよ」

『ぐ…、本当にすみません…』

「気にすんなって」


彼は頭をポンポンと叩いてから去っていく。待つとは言ってくれたがもう1週間もせずに彼は卒業し、アメリカに行ってしまう

その前には答えを彼に突きつけなければいけないのだ。それがいかに喜ばしいことでも、残酷でも


『…はーあ』


溜め息を吐いてその場にしゃがみ込む

恋愛ってなんて面倒なんだろうと、彼からもらったクッキーを見ながら考えたが答えは出ない

この状態で教室に帰ると涼太がキャンキャンうるさそうだと、しばらくその場にいると学校に予鈴が鳴り響く

1つ深呼吸をしてから、廊下を歩き始めた






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