第44章 お返しくれなきゃあげないぞ
部活に行こうとしても涼太は付きまとってくる。テスト前なので今日は基礎練習のみにすると征十郎は言っていた
練習が終えるとまだ明るい時間帯、さつきと2人制服に着替えて戻るとカラフルな奴らが勢ぞろいしている
日が出ているとは寒い。隙間風が入ってこないようマフラーを顎まで上げ歩き始めると、こちらに気が付いたテツヤが話しかけてきた
「みんなでアイスを食べに行きましょうって、青峰君が」
『こんな寒いのにアイス食べに行くの?』
「アイスよりあったかいものがいいなあ…」
さつきの意見に同意し顔を縦に振る。そう言えばと紙袋に入ったチョコを思い出した
余らせても仕方ないし元々は渡す予定だった。もういいかと彼らに紙袋を掲げる
『チョコあげるから、ちゃんとお返しちょうだいね』
呆気にとられたような顔をする彼らにトリュフが入った箱を人数分取り出す
それを手のひらに置いて取れと目線を送った
「本当にもらえないかと思ってたからすごい嬉しいっス!」
「オレも今年はもらえるとは思ってなかったのだよ…」
「はぁ?普通もらえんだろなぁテツ」
「ボクももらえるとは思ってませんでした」
「わぁ~、オレ2つ目だけどいいのー?やっぱおいっそ~」
「ありがとう名前」
「本命っスか!?」
『義理。さつきももう1個あげるよ』
「やった!ありがとう!」
喜んでいるのが分かりやすい人、分かりにくい人いるがみんなそれぞれの反応を見せてカバンにしまう
これでお返しをくれなかったら来年こそ無しだ。渡したことで背負っていた荷物を下ろしたように体が軽くなる
あとは和成に渡すだけだと携帯を確認すると、彼から試験前だから早く練習終わったとメールが来ている
「じゃあアイス食べ行こー」
『ごめん。今日この後予定あるからみんなで行ってきて』
「なんだ。珍しいね」
「バレンタインになんの用事っスかー!」
『ちょっと涼太、揺すらないで。さつきもそんな目で見ないで…』
肩を掴み前後に揺すってくる涼太を止め、「一緒に行かないの…?」と言いたげなさつきの目を見ないように視線を背ける
途中まで彼らと一緒に帰ったが、途中で和成と会うため彼らと別れる
一緒に行きたかったけれど先約があるのでしょうがないと言い聞かせ、和成が待っているであろう公園へと急いだ