第44章 お返しくれなきゃあげないぞ
翌日、いつもより睡眠時間が短いせいか眠い目を擦りながら登校する
学校に到着すると至る所でチョコの交換が行われているが、告白現場が目撃できない
放課後が本番かと考えながら体育館に入ると、すでに待ち構えている人物がいた
「おはよう名前っち!バレンタインっスよ、チョコ下さいっス!」
『ファンの子からいっぱいもらうでしょ』
「おはよう苗字、今日の蟹座のラッキーアイテムはチョコだ。さっさと渡すのだよ」
『嘘つけ。抹茶だったよ』
「苗字、チョコよこせ」
『その態度却下』
「名前、今年もくれるのかい?」
『外国では男性から女性へ花束渡すんだって』
明らかにチョコが入った紙袋を持って何言ってんだという感じだが、このもらえて当たり前な態度は大変遺憾である
内心怒っているとそこにピンクの髪を揺らしながら紙袋を持ったさつきがこちらにやってくる。今日もなんとも可愛らしい
「おはよう名前ちゃん。これ!バレンタインのチョコ!」
『ありがとさつき。はいこれ、お返しね』
「何で桃っちにはあげてオレにはくれないんスか!?」
「おいさつき、1個寄越せ」
「オレも食べたいな~」
『うるさいもらえるのが当然だと思うなよ。ほら朝練、征十郎指示出して』
いつもに比べてそわそわしている気がする彼らと、あたしのことを睨んでいるような気がするの視線を無視しつつ指示を出す
朝練終了後も大変うるさく、彼らが着替えている隙に教室に向かい同じクラスの女子と友チョコ交換を行った