第43章 百人一首大会
『っふう…』
「運命戦か、やるね」
『ここまでするつもりなかったんだけどね…』
でも読まれるのは征十郎の札なのだろうと敵陣の札を見ながら身体を動かした
何が読まれたとか、そんなの覚えられる脳の容量はもう残っていない。読まれた瞬間に敵陣に飛び込もうと思い、態勢を整える
読手の声が響く。飛び出そうと思った瞬間には彼の赤い髪が目の前で揺れていて、あたしから一番近い札に腕が伸びていた
音もなく取られた札は彼が笑顔でこちらに見せてくる
「オレの勝ちだね」
『…はぁ、負けたよ』
先ほどの静かな雰囲気と打って変わり歓声が上がる
今さらながらこれはなんの百人一首大会だったんだろうかと思いながら額の汗を拭い、立ち上がった
『なんでこっち飛び出してきたの?』
「名前の札が読まれると思っていたよ」
『…あたしは征十郎の札が読まれると思ってたんだけど』
「おや、そうなのかい?」
でもやはり彼には勝てなかったと溜め息を吐く。負けるのはやはり悔しいんだなと心の奥でもやもやと何とも言えない感覚がする
「名前ちゃん!すごかったよー!」
「赤司相手にあそこまでやるとはな、見直した」
「もう少しでしたね、次は勝てそうです」
『…あとの3人は?』
「2人の戦い見てたらうずうずするってバスケしに行きました」
「紫原君は屋台に」
「アイツららしいね」
みんなで笑いながら表彰式で賞品を受け取る
優勝賞品は商店街の商品券だったが、準優勝はお菓子の詰め合わせだったのでありがたくいただき先にストバスコートへと向かった彼らに合流することにした