第43章 百人一首大会
続く準決勝、綺麗なお姉さんと当たる。もう涼太と大輝なんか飽きてるんじゃないかと思ったが意外と見ていて関心した
流石に準決勝なだけあって相手は強いが、ここまで来て負けるわけには行かないと踏ん張り何とか勝利する
自陣の札がなくなってふと顔を上げると、隣で戦っていた征十郎がこちらを見ていた
隣の状況が分からないほど集中していたが、状況的に勝ったのは彼だと察する
「ほら、やっぱり名前が勝ち上がってきたじゃないか」
『やっぱり征十郎が相手かぁ…』
汗を拭い、水分を補給する。札を払っているだけなのに汗をかくのは集中しているからなのか燃えているからなのか
すぐに始まる決勝戦までの休憩の合間、まさかの対決に観客席からカラフルな頭たちがわらわらと寄ってくる
「すごいよ名前ちゃん!決勝戦だ!」
「赤司っちと名前っちの戦いかあ、楽しみっスね!」
「なかなかない戦いだ。見届けてやるのだよ」
「札払ってるだけのを見てて何が面白れぇんだ」
「2人ともさー賞品お菓子だったらオレにちょうだいね」
「ボクどっちも応援します。頑張ってください」
応援してくれるのはありがたいがふと気が付く。征十郎とこういう完全に勝敗がつくことで1対1で戦うのは中学入って以来初めてじゃないだろうか
運動面はともかく、学力で彼に勝ったことはない。今日だって勝てないのではないかとよぎるが、雑念を捨て試合に集中する
間違いなく彼は強かった。反応速度は速いし、記憶力もいいから普通に札を取っていく
それでも何とか食らいつき、気が付けば敵陣も自陣も1枚ずつ。どうしてこうなったという気持ちの方が勝ってしまう