第42章 冬休み
「紫原っち餌付けするなんてずるいっス!」
『いや盗まれただけなんだけど』
「紫原っち味方とか最強じゃないっスか!」
『いや征十郎のが最強だと思うけど、そう思うでしょ紫ば、ら…』
同意を求めて紫原を見ると、知らぬ間に腕を掴まれており指についていたチョコをペロリと舐めていた
その指が自分の指なことに、一瞬思考が止まる
「むむむ紫原っち!何してるんスか!?」
『むらさ、はぁ!?』
「何って、名前ちんに付いてたチョコもったいないから食べてただけ」
「だけ。じゃないっスよ!」
『…はあ?』
「ほら名前っち困ってるっスよ!」
一瞬頬が熱くなったが、何も言わず壁際にある部活用品からウェットティッシュを出して拭き取る
大丈夫。クマに食べられただけだとなんだか脳が追い付いてきたので未だ言い合いしている2人のところに戻った
『大丈夫、クマに食べられただけ』
「クマってなんスか?」
『紫原、とりあえず女子の指先食べるのはやめようね』
「無視っスか!?ねー名前っちー!」
『涼太うるさい』
「すみませんっス…」
騒いでいる涼太を黙らせ紫原の顔を見ると、キョトンとした顔でこちらを見ていた
兄弟が多いから彼にとっては普通なのかもしれないがよろしくないだろうと思ったのだがこれはどういう顔なのかとこちらもキョトンとしてしまう