第42章 冬休み
「監督、主将!、月バスの取材来てます!」
『はーい、すぐ行くー!』
「行ってくる」
監督に着任してから早1ヶ月が経過し、ようやく周りも自分もこの体制に慣れた
2連覇したからなのか、キセキの世代の彼らの取材のためなのか前よりも多く雑誌の取材が来るほど有名だった帝光中バスケ部はさらに名を広げている
「まず主将の赤司君から取材させていただきたいんですけれども…」
あたしが監督ということも月バスのおかげでだいぶ広がってしまったらしく、たまに歩いているとバスケ部らしき人達から謎の視線を送られることもある
隣でスラスラと答えていく征十郎は相変わらずすごい。このまま彼が懸念していた統制が執れないということがなければいいなとと考えながら会話を聞き流す
「じゃあ次に、監督の聖母さんに質問なんですけど…」
『…はい』
いつの取材なのか分からないが、涼太が取材を受けたときに「ウチの監督は聖母なんスよー」とか言ったらしく、おかげであたしが聖母でさつきが女神とかいう異名が広がっている
聖母と女神はどっちが上なんだろうと考えたりもしたが、それで優劣を付けようとは思っていないので答えは探さなかった
「練習風景も撮らせて頂いていいですか?」
『大丈夫…です?』
「特に問題はない」
『大丈夫です!』
征十郎は本当に頼りになって助かるなと考えながら、取材の人を体育館に案内する
1軍のみんなも最初は取材に緊張していたがもう慣れ始めており、今日も何事もなく全員練習に参加してくれていた
あれから大輝も紫原も練習に参加しているし、涼太は彼のコピーをしようと励んでいる。残りのメンバーは何も変わらない
『ほんと、良かった』
あたしがもっと大人だったら、視野が広かったらもっと良い状況に出来たかもしれないがこれが今出来る最善だ
誰も悲しい顔をしていないなら良いと、壁に寄り掛かる
しばらくして取材の人は帰っていった。監督らしいことなんて何もしてないのでいい写真が撮れなかったんじゃないかと思うが今更ぽいことをしようとは思わない
「来年のスケジュールだ」
『ありがとうございますコーチ』
きっとすぐに冬休みが来て年が明ける。バタバタしているうちに全中も終わっているんだろうと来年の事を考え、彼らがこのままになることを願いながら練習を続けた