第41章 治癒の眼
力を抜き、眼を使うのをやめて見るだけの機能に戻すとあたしの言うことに疑問を持ったのか、首を傾げている紫原と目が合う
「別にオレ、膝痛くないんだけど~」
『いや、あたしもよく分からないんだけど…紫原の膝の数値が、悪く見えるんだよね』
「…紫原君の、数値ですか?」
『うん。何でだろうね。やっぱり何か髪とか眼とかと、関係あるのかなぁ…』
「名前さんの眼なら恐らく偽りは無いと思います
紫原君。とりあえず練習はストレッチだけにしてみませんか?」
「…言われなくてもそうするつもりだったし」
「なら大丈夫ですね」
『…テツヤ、ありがと』
「いえ、大丈夫ですよ」
みんなアイスを食べ終わったようなのでビニール袋を持ってゴミを回収していると、バスの準備が整ったのか真田コーチが歩いてくる
「苗字、もういいか」
『はい、行きましょう』
声を掛けバスに選手を乗せてくれる真田コーチに感謝しながらちゃんと人数がいるか確認していく
最後に乗り込むと、もう残っているのは征十郎の隣かコーチの隣。さつきの隣にはテツヤが座っておりさすがにそこを邪魔しようとは思えない
『あー…征十郎の隣、いい?』
「構わないよ」
出発したバスの中、征十郎の隣でコーチに預けられた体調管理の紙やスコア表、その他もろもろを確認していく
あまり気にしていなかったが、今回征十郎の得点がいつもより少ないことに気がついた
『今回征十郎、得点少ないね』
「光と影に暴れてもらっただろう?」
『あぁ、テツヤにパスしてたんだ』
「後半はできるだけ貢献したから、その分だろうね」
『納得した』
バスの中だと書き足しできないよなぁ。と思ってとりあえず確認のみしているのだが、ここでちょっとミスをしてしまった
『征十郎』
「なんだい?」
『酔った』
「…バスにか?」
『文字、見るんじゃなかった…』
胸のあたり、胃か何かがむかむかするような、呼吸がしづらいような感覚と頭が痛いのを我慢しようとする
戻しはしないと思うが気持ち悪いと猫背になっていると、征十郎から姿勢を正された