第41章 治癒の眼
「名前ちゃん、タッパー持ってきたよ!」
『ありがと。てことでレモンの蜂蜜と砂糖漬けを作ってきたのでどーぞ』
「…名前さん、女子力高いですよね」
『…うん。ありがとう?』
「名前ちんお母さんみた~い」
『…それ調理実習の時にも言ってたよね』
モグモグとレモンの蜂蜜漬けを食べながら女子力の話をするテツヤはあまり見慣れない光景だったからか違和感があった
そこから真面目な作戦会議が繰り広げられ、特に言うことも話すこともないので黙って聞かせてもらっていた
始まろうとする後半戦に、テツヤがユニフォーム姿になる
「黒子っち、オレの代わりに頑張って来て!」
「黄瀬君に言われなくても頑張ります」
「ヒドッ!」
『大輝にテツヤ、久々に頼むよ』
「おうっ!」
「はい」
後半戦が始まる。前半はさつきが隣にいたはずなのに、なぜか涼太が隣に座ってくっついて作ってきたレモンの蜂蜜漬けを食べている
「美味しー!名前っち本当にお母さんみたいっス!」
『せめてお姉ちゃんにしてよ。こんな問題児もつのは嫌だ』
「あ!オレたちのお母さんなら、バスケ部の聖母っスね!」
『…ダサい』
「ええ!?ひどくないっスか!?」
『そう言われてもなぁ…』
みんな「キセキの世代」とか「幻の6人目」とか異名を付けるのが好きだなと考えてると、テツヤの中継したパスが大輝に渡る
狼狽える相手校にニヤリと笑いながら、久々のやり取りになおの事口角が上がった
「青峰っちだいぶ変わったみたいっスね」
『うん。練習出るようになったしね。本当…良かったよ』
目線の先には拳を突き合わせる大輝とテツヤ
さつきはその様子を見て涙ぐんでおり、本当に良かったと心から思い、笑った