第39章 青色の救出
そんな出来事からしばらく経ったが大輝は相変わらず練習には来ない
紫原はなんとか言いくるめて来てくれてはいるが「だって峰ちんも来てないじゃん」と言われたら終わってしまう
涼太もキセキの世代を相手に頑張ってくれてはいるが、まだ完成までは難しい
このままでは秋が終わってしまうのではないかというとある日、大輝は連れずに1人でバスケのゴールがある公園へ来ていた
こっちの世界はバスケのゴールがある公園が多いので夜な夜な公園を徘徊して火神を見つけなければならず、部活後の重労働となっている
『ドリブルの音…』
今度こそ火神であってくれと願いながら公園に入ると、中学生の割に大柄で独特な髪色をした人が1人でバスケをしていた
ようやく見つけたと、不審者にならないように気を付けながら咳払いをして彼に近づく
『こんばんは、火神大我君…だよね?』
「あ?そうだけど…なんの用だよ」
『バスケするんでしょ?うちのエースとどっちが強いかなって』
「…はあ?エースとか言って、どーせそうでもねえんだろ?」
『いや、その感じじゃうちのエースの方が強いかなあ』
眉毛をピクリと動かす火神にニヤリと笑う。良くも悪くも好戦的な人物だ
こちらが喧嘩を売れば買ってくれるのは予想していたが、どうかと様子を見る
『今度、1on1しようよ』
「…ハッ、いいぜ受けてやるよ」
『でも1つお願いがあるんだけど』
「まだあんのかよ」
『中学生の間は、バスケ部やクラブチームに入らないでもらえるかな』
「…元々あんな低レベルなのに入る気ねぇよ」
『ありがとう。また明日、彼を連れてここに来るよ』
携帯のアドレスを書いた紙を火神に渡しながら「明日同じ時間にここに居てね」とお願いし去ることにする
『じゃ、また明日』
「ああ…逃げんじゃねーぞ」
その帰り道、大輝に「明日例の相手と対戦してね」とメールを送るがどうせ返信は返ってくるのが遅いか、返ってこないかのどちらかなんだろう
自分でセッティングした1on1だが、楽しみで意識せずとも口角があがる
夜だからスキップしないようにだけ気を付けて、ようやくなんとかなりそうな状況に鼻歌を歌いながら帰った