第39章 青色の救出
テツヤが来ているしちょうどいいと、体調管理チェックを一旦やめて涼太を呼んで手招きする
「何スか?」
『大輝に戻ってきてもらうために、2人の力を借りたいんだ』
「ボクは昨日言った通りです。やらせて下さい」
「名前っちの頼みならもちろんっス!」
『うん。じゃあまず涼太なんだけど』
「はいっス!」
『青峰大輝という人物に憧れるのを、やめようか』
「…青峰っち、に?」
『うん。分かってるでしょ?憧れてしまえば超えられないって』
本当は2年後くらいの話だが、今はそんなこと言ってられない
外部にライバルを作るのが1番だが頼んだことも上手くいくか分からないので、保険をかけていくのは重要だろうと彼をその役に充てることにする
「…じゃあ名前っち」
『うん』
「青峰っちに勝てたら…超えられたら…」
『うん』
「つ、付き合ってほしいっス!」
『…うん?』
涼太の声が体育館全体に響き、選手もマネージャーも、コーチも動きをピタリと止めてこちらを疑視していた
余計なことをしてくれたなと思うが、頼んでいるのはこっちだ。これでじゃあやっぱやらないとか言われると困ってしまうのはあたしである
『…出かけるの付き合うならいいけど、恋人の付き合うは却下で』
「で、出かけるの付き合うっス!」
『ならいいよ』
「きーちゃん、元気出して」
「オレ…不憫っス…」
ガックリとしている涼太の様子を見て周りは察したらしく、一瞬止まった動きがなかったかのようにみんな動き出した
「ところで、なんで黄瀬君なんですか?」
『涼太の得意なことは?』
「コピーっス!」
『大輝はオレに勝てるのはオレだけだ。って言ったんだよね』
「はい」
『涼太が大輝をコピーすればどうなる?』
「青峰っちの相手が…青峰っちになるっス…」
『そう。だからかな』
納得した涼太は「頑張るっス!」と言ってくれたので安心して練習に戻るよう指示した
こういうときばかり頼って申し訳ないかもしれないが、本物が用意できなかった場合保険は涼太だ
もちろん2人ともそうなってくれれば1番の出来なことに間違いないが、保険は用意しておいたほうがいいだろうと彼を見つめる