第38章 マネージャー辞めます
服が濡れ不快だが着替えてる余裕はない。帝光に戻ったあたしは監督の部屋に走り、ノックもせずに扉を開けた
「苗字、入る時は許可を…」
『監督…あたし、マネージャー辞めます』
服が濡れたから冷たいが、身体は熱い
走ったせいで息は切れるが、一刻も早くこれは伝えなければいけないと驚いた様子の彼に近づく
「苗字、なぜ」
『そして、辞めたマネージャーから監督にお願いがあります』
「…何だ?」
『あたしを、監督にしてください』
「…なんだと?」
『実際白金監督が居なくなって戸惑ってますよね、そんな中途半端な気持ちで監督しないでください』
「…なぜ」
『いいから早く、あたしに監督を譲ってください!これ以上バラバラになるみんなを見たくないんです!』
「っ!!」
あたしの気持ちと考えていることが分かったのか、か細い声で「分かった」と言う真田監督に安堵する
脅しを使わなくて済んで良かったと溜め息が出るが、そんなことをしている場合じゃないと次の言葉を急ぐ
『真田監督にはまたコーチをお願いします。すみません年下が上に命令して』
「…いや、別にいい」
『行きましょう。コーチの判断がどうなったのか、しっかり目で見てくださいね』
ようやく落ち着いたかと思ったが次に行くのは体育館。どうなっているかは分からないが、征十郎の人格が変わってしまう大事なポイントだ
何とか避けたいと体育館に戻ると、ちょうど征十郎と紫原の1on1の真っ最中だった
様子を見る限り終わっていない。得点を見ると0対3と征十郎が負けている状態、人格は変わっていないことに安心し2人の間に入る
『ストップ、1on1やめて』
「名前っち、真田監督!?」
「青峰を追ったはずじゃなかったのか?」
「名前ちん、首突っ込んでこないで」
「紫原の言う通りだ。主将としてお灸を据えているだけで、マネージャーが首を突っ込むことではない」
『ごめんね征十郎、あたしマネージャー辞めたからもう部員じゃないよ?』
「…え、 」
周りがどよめきそれぞれが色々述べている中、涼太と緑間がこちらに駆け寄ってきた
既に征十郎と紫原の1on1は話題に上がっていない。なんとかこのまま流したいと、目の前にいる涼太と緑間の相手をする