第67章 黄色とナンパ
「そうだ、きーちゃんも一緒に屋台回ろ!」
「いいッスよ、遠慮するッス」
そう言うと涼太はさつきの耳元に口を持っていき、内緒話を始める
しばらくするとさつきの頬がぽっと赤く染まり、少し挙動不審になった
「や、やだな、そんなっ、き……気にしないで!
一緒に回ろうよっ、うん!
そのほうがテツヤくんも楽しいと思うしっ!」
「……まあ、桃っちがそう言うなら、いいんスけどね」
ニヤニヤとさつきのことを見て恋の応援をするような素振りを見せる涼太
…涼太って、あたしより女子力高い気がする
「んじゃあ、夜店見に行こっか!
ちなみに、今までどこを見て回ったの?」
「とりあえず、スーパーボールすくいと、輪投げはしました
成果はこれです」
「輪投げで、テツくんがこれ取ってくれたんだよ」
そう言って、スーパーボールで膨れ上がったビニール袋を掲げて見せるテツヤに抱えていたぬいぐるみを見せるさつき
それを見た涼太は少し顔を引きつらせて、それ黒子っちの趣味だったんスか…。と言った
「いえ、桃井さんの趣味です」
「え、これってかわいいよね」
『…グロカワイイね』
「うーん…桃っちの趣味って、よくわからないんスけど・・・あ、でも、そのぬいぐるみを抱いてればナンパ避けにはなるかも」
「そうかな?」
「なるなる
それを目につくように抱いてれば、まあ、普通は声かけないと思うッス」
「それに目立つ黄瀬くんが一緒なら、かけられるのともないと思います」
「いやぁ、それほどでも……」
「褒めてないです」
「えっ、そうなんスか!?」
「私よりきーちゃんのほうが、声かけられるんじゃない?」
「あー…でも、#NAME1#っちと桃っちが一緒から大丈夫だと思うな
持ちつ持たれつってやつで」
『…それあたしにプレッシャーかけてるよね』
「・・・僕って、お邪魔ですか?」
「「そんなことないよっ!!」」
あまりのぴったりしたハモり具合に思わず顔を見合わせて笑い合う
…幸せ、だなぁ