第67章 黄色とナンパ
お菓子を奢ると約束した緑間と紫原の2人と別れて3人で歩き出す
夏とは言えこの時間ともなると日も暮れ始めて、少し空がオレンジ色と藍色へと変化してきていた
「そろそろ青峰くんのところへ行きますか?
青峰くんもお腹を空かせているかもしれませんね」
「あー…うー、でも、もうちょっと焦らすっ
私たちだけで、先に何か食べよっ」
「分かりました」
『さつきって大輝にだけ少し意地悪だよね』
「青峰くんが悪いんだもん!」
辺りを見渡すとたこ焼きの屋台が目に入り、それを食べようという流れになった
しかしあたしは未だ食べ終わっていないりんご飴があるため、そこら辺で待ってると周りがざわざわし始めた
あー、さつきのナンパの奴かーとスルーしているとしばらくして目の前から何かが抱きついてきた
「#NAME1#っち!」
『涼太、急に抱き付いてこないでよ』
「言ったら抱き付かせてくれるんスか!?」
『却下する』
「じゃあ言わないで抱きつくッス!」
『お前は主人の言うことを聞かない犬か
いや、犬だな』
「犬じゃないッス!」
りんご飴を口に入れ、背中に回っている涼太の手をほどく
後ろのテツヤの手にはたこ焼きのパックがあり、無事に買えたことが分かり心中ホッとする
「きーちゃんの浴衣って変わってるね 」
「あっ、気づいたッスか!?
仕事の撮影で使ったものをもらったんスよ
男モノの浴衣でこういう柄っめ珍しいスから」
そう言っている涼太の浴衣にはパステルカラーとかそういう淡い水色地に小さなペンギンが散らされている
『…可愛い』
「そう言えば男の子用って、シンプルなのが多いよね
それに、暗めの柄が多い気がする
テツくんのも黒だし、青峰くんのも濃紺だったもん」
『緑間も青地に白だったもんね』
「濃い色のほうが、男にとっちゃ無難ッスから
白とか涼しげだけど、着てる人が少ないから、着るのに勇気がいるらしいッスよ」
涼太の言葉に、テツヤとさつきは言葉を失った
そこで少し沈黙が現れた