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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《1》

第37章 新体制と赤司家





『…あの、なんで今日、呼ばれたんですかね』

「先日、征十郎とご飯を食べていたら君の話になってね」

「それで名前を夕飯に呼ぼうという話になったんだ」

『飛躍しすぎじゃない?なんでそうなった?』


お手伝いさんが飲み物と食事を運んできてくれたため、乾杯の音頭とともにグラスを上げる

彼のお父さんが食事に手を付け始めたのを見て、前菜に手を付けることにした


「橙崎の娘から見て、征十郎は変わったか?」

『本人前に話します?』

「オレは構わないよ。好きに話してくれ」

『…変わったんじゃないですか、特にバスケ部のチームメイトが雰囲気変わったって言ってますし』

「いい方向に、でいいか」

『もちろんです。新しく主将になって頑張ってますしね』

「おや、褒めてくれるのかい」

『頑張ってる人は褒めるよ、あたしは』


だが今この瞬間、1番頑張っているのは間違いなく自分である。食事も口にはして美味しいことは分かるが細かい味まで分からない

会話が続くが緊張でちゃんと受け答え出来ているのか分からないし、そもそもどうして呼んだのかそれを早く教えてほしい

こちらから話題を振ることが出来ず、征十郎のお父さんがたくさん話題を振ってくれてありがたいと感謝しながら食事を進めていると、気が付けばデザートまでたどり着いていた

食べ終わればこの謎の晩餐から解放されるのかと淡い期待を持ちながら美味しいケーキにフォークを入れる


「今日は、橙崎の娘にお礼を言おうと思ってね」

『お礼?』

「私は誰かに止めてほしかったのかもしれない。母親がいなくとも征十郎を赤司に相応しい人間に育てられるようにと、必死だったんだと思う」

『…はい』

「もう十分だと、誰かに言ってもらいたかったんだ。取引や家柄など関係ない誰かに」


そう言われると橙崎は家柄も取引もありそうだが良かったんだろうかと考えるが、一応あたしは拾い子だ

征十郎のお父さんが「他人はすっこんでろ!」とかいうタイプじゃなくて良かったと今更こっそり心の中でお礼を伝える






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