第6章 帝光祭
『征十郎』
「待ってたよ。エントリーは済ませてあるからこのバンドで足を止めよう」
『…二人三脚するってこと』
「そうだね、練習しとこうか」
そんな話、小説であったなと思い出す
小説で書かれていたのは来年の話だったがこの感じだと例年内容はほとんど一緒なのかと考えていると、征十郎がバンドを止め終わり立ち上がった
「止めたよ。きつくないかい?」
『うん。征十郎背同じくらいだから走りやすそう』
「…褒め言葉として受け取っておくよ」
『褒めてるよ』
少し前まではあたしの方が若干高かったのだが、成長期というものはすごいなあと考えつつ二人三脚の練習をする
征十郎の速度に合わせることは流石に難しいので、こちらに合わせてもらうことで転ぶことなくクリア出来そうだ
「ただいまよりクイズ研主催のスタンプラリーを開催致します!」
「行くよ名前」
『ガンバリマス』
並んだ末にピストルの音とともに走り出すが、運動部の男子のぺアがおり差が開く
男女のペアの中なら1位だが、やはりただの女子が運動部男子には勝てないかと征十郎に申し訳ない気持ちになっていると彼が口を開く
「…これは足をバンドで繋いでおけばいいんだよね」
『そうだと思うけど』
自分の脇に手が回り、身体が持ち上がる。彼のどこにそんな力があるのか分からないが速度は格段に上がり前のペアにも近くなる
「おーっと!赤司、苗字ペア!なんと片腕を回して持ち上げています!」
『もうなんでもありなんかい…』
そのまま持ち上げられ、落とし穴に落ちることもなく第2ゲームのクイズに進んだが、征十郎が難なく答えて次に進む
やはり彼がいる限り優勝は間違いないだろうと、とりあえず付き従っていこうと考えながら次のステージへと進んだ