第66章 夏祭りですね
こけしを軽々取った紫原を見ていると、いつの間にか回りに人だかりができていた
…これはパフォーマンスとかではないんだけれども
「よし。次はあのライオンのぬいぐるみだ!」
「うん。かき氷も追加してねー」
「……分かった
次はあのブリキの人形!」
「わたあめもねー」
「くっ……わかったのだよ
そっちのミニカもだ!」
「ラムネ菓子もいいなぁ」
「まだ食べるのか!
いい加減にするのだよっ!」
『いや、ラッキーアイテム集めるのもほどほどにしろよ』
そんなことを繰り返すこと数分、紫原の腕の中にはこっそり取ったお菓子があり、緑間の袋の中には景品がたくさん入っていた
そして緑間は財布の中を確認して頬をひきつらせた
「思わぬ出費だった……
だが、紫原の腕の長さが、こんなところで役に立つとはな」
「ミドチン、約束忘れないでねー」
「…僕もやってみようかな」
「え?」
「紫原くんのを見ていたら、僕にもできそうな気がしてきました」
「うん、簡単だよー」
「めぼしい景品はあまり残ってないがな」
『緑間のめぼしいと、テツヤのめぼしいは違うと思うけど』
「桃井さん、どれか欲しいのありますか?」
「えっ!?」
「さっきのスーパーボール、取れなかったので代わりにどれか選んで下さい」
「テツくん……!!」
そう言って頬を赤く染めるさつき
その姿がどこから見ても可愛くて、乙女に感じた