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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《1》

第36章 こんな時に体育祭?





「名前はダンス、出ないのかい?」

『生徒会の仕事で出ないって言っちゃった』

「…出たくなかっただけだろう?」

『人前で踊るのは避けたい。しかも男女でしょ』

「1人だったら良いのかい?」

『…さぁ』


曖昧な返事をしつつ、目の前で始まっているダンスを見る。征十郎も行かないあたりサボりなんだろうか


「名前は今年もリレーに出ると言っていたね」

『うん。あたしもこの間知ったんだけどね』

「オレは今年出ないからね、名前のことを応援しておくよ」

『敵チーム応援していいの?』

「心で思うのは勝手だろう?」

『そうだけど』


得点を集計する手を止めて、溜め息を吐く。放送委員会の午後の競技を始めるという放送により、体育祭は再開される

目の前で行われているダンスには基本全校生徒が出るのだ。今1番の問題の種、大輝が出ており文句言わず踊っている彼を目で追っていた

征十郎と2人、会話がないのもなんだかと思い彼に当たり障りない話題を振る


『午前中、征十郎のお父さんに会ったよ』

「あれは借り物競争だったから会ったと言うよりも意図的だろう」

『まあそうなんだけど』

「名前のおかげで、父さんは変わったよ」

『…え』

「確かに父さんは厳しかった。オレが物心つく頃から英才教育させられ、唯一自由にできたのはバスケットボールだったよ
しかも、5年生のときには母が亡くなり厳しさが増した」

『…うん』


征十郎のお母さんは優しかった。元々彼に自由がなかったせいで会う機会は少なかったけれども、よく覚えている

彼女が亡くなってしまった後征十郎のお父さんはとても厳しくなり、彼と学校以外で会う機会も減ったことは身をもって感じていた

実際、彼の家に行くのも看病に行ったときのが中学生になって初めてではなかっただろうか






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