第36章 こんな時に体育祭?
お昼を食べていると先ほどの返事はどうするのかと野次が来る
「なんも」とだけ返していると面白くなかったのか人はいなくなっていた
だが、犬はいつまで経ってもいなくならない
「名前っち主将のものになったらいやっスー!!」
『ならん』
「じゃあオレの彼女に…?」
『ならない』
「黄瀬ちんしつこ~い」
『ほんとだよ』
食後のお茶を啜りながら時間を確認する
そろそろ向かっとくかと立ち上がり荷物を持つと、涼太が「行かないで~」とくっついてくるので紫原に引き剥がしてもらいグラウンドの生徒会テントに向かう
既に会長が体育委員会の委員長と話しているところだった。あたしの存在に気が付いた会長が手を振ってきた
「おう苗字早いな」
『仕事多かったら嫌なんで』
「…帝光祭の時は悪かったな。とりあえずお前の仕事は得点の集計な」
『…雑用係ですか』
「そうなるな。つーかそれより…」
『それより?』
「虹村と、付き合うのか?」
そうだ。当たり前だが会長は3年生のため同級生の虹村先輩のこと知ってるのかと納得する
年頃の男子だ。ニヤついている目の前の先輩2人にどう返事しようか考えていると後ろから声がかかった
「名前、会長」
『あ、征十郎』
「早いね、迎えに行ったら黄瀬と紫原に向かったと言われたから驚いたよ」
『うーん…まあ、たまたま…担当時間、征十郎も午後だっけ?』
「ああ、オレの仕事は音楽の放送だけどね」
『BGM係?』
「それで合っていると思うよ」
その会話の隙に体育委員会の委員長はいなくなり、キリがいいところで会長も「行ってくる」と居なくなってしまう
ダンスを楽しみにしているのか笑顔で去っていく彼を見送り、征十郎と2人昼休憩の前に集計した得点が間違っていないかを再計算していくことにした