第66章 夏祭りですね
カランコロンと下駄が鳴るのに気分が高まるのを感じるが、少々困ったことが起きていた
普段履き慣れていない下駄のため、気を抜いたら転びそうなほどに歩きにくいのだ
『あ、ヤバい』
そんなことを考えていたのがいけないのか、それとも事故なのかはわからない
だが、前へと倒れていくのを感じていた
「おっと」
『ふぅ、ありがと征十郎』
「#NAME1#はよく転ぶね」
『服が着慣れてないだけだよ』
「そう言われれば、帝光祭のときにも転びかけていたね」
『その時にも征十郎に助けてもらったね』
「じゃあ、今回も同じように助けようか」
スッとあたしを支えている腕を直して、征十郎はあたしの手を取り歩き出す
…同じように助けるって、転ばないように支えるって意味なんだ
『…ありがと』
「礼には及ばないよ」
征十郎の手の温もりがこちらにまで伝わってきて、心臓が少し高鳴る
恐らく、今のあたしの顔は赤いだろう