第36章 こんな時に体育祭?
『虹村先輩、お題は!?』
「好きな人だ」
『…虹村先輩、去年も同じの引いてませんでしたか?』
「気のせいだろ」
『いや覚えてますって』
1番でゴールしたあたしと虹村先輩、司会の人にお題の紙を渡すと驚いた表情で虹村先輩を見た
「今年もマネージャーとしてですか?」
「ちげーよ1人の女としてだ」
『…え?』
その瞬間、周りから黄色い声があがる。…虹村先輩今なんて言った?
保護者とほぼ全校がいる前でマイク通してなんてことを言ってくれたんだと困っていると気が付くと隣に征十郎が立っている
「名前、こっちに」
「おい赤司、勝手に連れてくなよ」
「生徒会の仕事があるんでね」
「うそつけ今あるわけねーだろ生意気だな」
目の前で征十郎と虹村先輩が睨み合っている中、周りは黄色い声やヤジを飛ばしてくる人もいる
司会者はあたしにコメントを求めているみたいだが、そんな答えをわざわざ言うことはこの場でも、この場でなくとも出すことは出来ない
『…ま、また今度で!』
そう言い捨てて走り出す。後ろから驚きの声が聞こえたが、ここでどう反応しても負けなことは分かっている
人が居なさそうな木陰に辿り着き、長い溜め息を吐いた
走ったからなのか虹村先輩のせいなのか分からないが、身体のすべてが心臓になったかのように動悸が激しい
息を整えつつ手で仰いでいると、すっかり接点がなくなってしまった人がそこにいた