第36章 こんな時に体育祭?
「やっぱ名前っちの髪サラサラっス!」
『…今年もか』
「だって名前っち髪結んでないんスもん」
『まあ…邪魔になるから、結んでもらって助かるんだけどね』
「名前っちがデレた!」
『1人で楽しそうだなー』
彼はわざわざ準備してきたのかくしやゴム、ヘアピンを数本が体育着のポケットに入っている
場所も去年と違う。段差がある場所なのであたしはそこに座っている。だからここに連れて来たのかと1人で納得した
「今年は事前に髪型決めてきたんで、任せて欲しいっス!」
『すでに任せてるよ』
「そういう意味じゃないんスけど…まあいいっス」
あたしの髪にくしを通していき、元々サラサラな髪をもっとサラサラにしていく彼の手際の良さに感心しつつ、木陰とは言え暑さを感じて目を閉じる
『暑い…』
「そりゃ髪下ろしてれば暑いっスよ」
『結ぶの面倒だし、すぐ崩れちゃうから簡単なのしかできないよ』
もう髪切っちゃおうかなぁ…と長い髪を見る
小学生までは雪さんがよく結んでくれて、だから伸ばしていたのだと思い出しながらなんだか懐かしい気持ちになった
『…髪、切ろうかなぁ』
「し、失恋でもしたんスか!?」
『…違うんだけど、さすがに伸ばしすぎたかなぁって』
「び、ビックリしたっス…」
失恋したら髪を切るというのはどうして生まれてしまったんだろう
別に自分の好きなタイミングで切っていいじゃないかと思いながら、この先自分で前髪を切る人物がいることを思い出しなんだか複雑な気持ちになる