第36章 こんな時に体育祭?
監督が倒れてから数日、体育祭の日がやって来た
本音を言ってしまうとこんな状況でやるのかという気持ちと、大輝とテツヤの状況が気になるのだが、学校側に決められた行事のため仕方がないとマイクの前に立つ
『えー、テストテスト。ただいまマイクのテスト中…』
校庭の端で丸を作ったのを確認しマイクの電源ボタンを切る
体育祭は体育委員会の仕事で放送は放送委員会の仕事じゃないのかとなんだかもやもやするが、今日の仕事はほとんどない
「苗字、あとお前の仕事午後からだから組の方行っていい」
『はい。じゃあお疲れでした、会長』
「午後にちゃんと来いよ」
『はーい』
会長からの指示をもらって、赤組の集合場所ではなく、人がいない木陰の方へと歩き出す
途中でパシッと腕を捕まれて後ろを向くと、黄色の髪をした奴がニコニコしながら走り出していた
つまりそれは腕を捕まれている自分自身も走るということで、本気の彼に比べれば全然遅いがあたしの全速力より早く息が上がる
『りょ、涼太、今年も何かあったの?』
「そうっスよ!」
『…あたし木陰の方行きたいんだけど』
「別の木陰で許して欲しいっス!」
『目的地木陰なんだ!?』
涼太の一言に息がと問わないまま笑い、腕を引かれて木陰を目指す
その後ろ姿が去年より少し大きくなっていて、なんだか成長を感じてしまう
辿り着いた木陰で彼はあたしを座らせて、後ろで髪をいじり始めた