第35章 崩壊のはじまり
「あ、そうだ苗字」
『今度は何ですか?』
「お前、赤組だろ?」
虹村先輩の問いかけになんのことかと一瞬考えたが、体育祭の話かと理解する
いつものことだが覚えていないあたしはクラスメイトに聞くことにした
『涼太、紫原―!あたし達って赤組なの?』
「そうっスよ!ね、紫原っち!」
「えー、オレ寝てたから知らなーい」
「あ?お前らまた一緒なのか?」
「まあ…涼太とは2年連続クラスが一緒ですから」
「ちげーよ今年また赤組なんだよ、オレ」
そう言えば去年も虹村先輩と同じ組だったことを思い出しながら、体育祭からもう1年経つという事実になんだかしみじみしてしまう
「主将はリレー出るんですか?」
「ああ、出んけど」
「なになにー?名前ちん、リレー出るの?」
『知らない』
「出るんスよ!名前っち!オレとリレー出るっス!」
『…あれ、あたし知らないんだけど』
「名前っち、その時提出用紙書いてたっスよ」
『…そりゃ覚えてないわ』
そもそも学級委員がやるべき仕事が回ってきているのではないかと思うがまあいいかと、1軍みんなで遊んでいる光景を見る
間もなく2軍から1軍に新しいメンバーが上がってくるだろう
変えると言ったが何をしていいのか分からないこの状況に頭を悩ませながら、彼らとの会話を続けた
その日の夜、コーチから明日の朝に話したいことがあるとの連絡を受ける
何を言われるかは知っている。分かっているが故、喉の奥がキュッとしまるような感覚がした