第61章 カナヅチで何が悪い
『…テツヤとあたしって身長同じくらいだよね』
「そうですね」
『足、プールの底に着く?』
「着かないですね
着けたら着けたで溺れます」
『だよねー…
あ、でも背伸びすれば歩けるかな』
あたしとテツヤがつま先立ちてギリギリ顔が出るくらいの深さってどれくらいだよ。と突っ込みたいのを我慢して適当に歩く
これはあたしに泳げるようになれと言っているのか、それとも溺れろと言っているのか…どちらもそう変わらないが
『…紫原でかいな』
「確かに深いけどー、俺は別に普通に足着くから~」
『背が高いって良いよね』
「色々不便だけどね~」
『…それ言ったらダメだよ』
一応あたしも平均以上なんだけど、他の子これ溺れないかなーと心配しつつ先を歩く涼太を追いかける
…本当に人気あるな、こいつら
テツヤは影の薄さがあるせいで人気がないに等しいけれども