第34章 全中と決意
『…あれ』
変化した自分の長い髪を一房取り見てみる。この一瞬の出来事なのに周りは誰も気が付いていないようだ
どういうことかと首を傾げていると、飛びついて来ようとしていたのか涼太が駆け寄ってくる
「名前っちー!わ!髪と目が違う!」
『げ、目まで変化してんの?』
「…カラコンでも着けたんですか?」
『こんな場所で装着しないよ』
どういうことかと頭をフル回転させ考える
もしもの話だが、あたしが雪さんから苗字を変えるということを断らなかったら、あたしは橙崎になっていたはずだ
そうなるとどんどん茶色く変化していく髪に橙崎という苗字、体調管理の目に入学前や外出先での主要キャラとの接触の多さもそういうことだったんじゃないかと考える
どこかではわかっていたのかもしれないが、その考えには至らないようにしていたのかもしれない
欠けていたパズルのピースが、ピタリとハマるようにすべてが繋がった
「うわーどうしたの名前ちん、別人みたいじゃん」
「体育館で髪を染めてはいけないのだよ」
『染めてないわ』
「何色でも名前は似合うよ」
「赤司君の言う通り!目も綺麗で素敵だよ」
『まだ自分で見てないけど目もオレンジ色なのね?』
「ピンクから黄色のグラデーションです」
『どういうこと?』
せめてオレンジ一色にしてくれと思っていると、虹村先輩がこちらを見ながら驚いたような表情をする
他の人は気が付いていないのに彼は気が付くのかと、不思議な状況に困っていると表彰式兼閉会式の準備が始まる
最後のゲームには出ていなかったが、トロフィーを受け取るのは主将である虹村先輩の役目
優秀選手に選ばれたキセキの世代や、みんなが大喜びしている様子は先ほどと変わらず見ていて微笑ましい
閉会式終了後スタメン、レギュラー、学年ごとで写真を撮っており、並行してあたし達は8人で写真を撮った