第34章 全中と決意
1人輪の中に入ろうとしない大輝に虹村先輩が話しかける
「…何ボーッとしてんだよ。お前のおかげで優勝できたんだ。もっと喜んでいいんだぞ、行けよ
せめて今だけでも素直になってもいいじゃねーか」
そう言われ、彼は輪の中に入っていく
みんなが喜んでいる様子を視界に入れると、意識していなくても自分の口元が笑っていることが分かる
このまま放っておけば来年の彼らは優勝しても喜ぶことなく平然としているんだろう
そんな姿は見たくないし、出来ることなら来年も彼らの喜ぶ姿を、仲良くする姿を見たい
『さて、と』
彼らのことは歯車や皿に例えられていた。その例え方を借りるとして、彼らはこの時まで噛み合っていた
1つにヒビこそ入ってしまっていたが、まだきっと直せると信じていた
原作では、その歯車達はバラバラになってしまう。ヒビが入ってしまえば歯車は元に戻せないし、1度ヒビの入った皿はどうやっても元に戻すことはできない
けどそれは例えの話、人は間違っても戻ることはできないが正すことはできる。それに今はヒビの段階だ。なら
『あたしが、その歯車達を直そうじゃないか』
決意と共に立ち上がると、自分の長い髪が動きに合わせて揺れる
その色は、茶色からオレンジへと変化していた