第34章 全中と決意
悩んだまま翌日を迎えるが答えは出なかった。そしてトーナメント初戦は上崎中対帝光中、つまり井上さん対大輝の戦いがやってきた
その本人である大輝はアップでダンクを決めたりと、気合いが入っている
「気合い入ってるっスね、青峰っち」
「まぁな、今日の相手はちょっと手強いからよ。それにテツにも言われたからな
どんな相手でも、手は抜かねーよ」
「…はい」
一方緑間はどこかそわそわしており、落ち着かない様子
「どしたんミドチンー?」
「…いや、…今朝のおは朝占いがな…」
「なにー?悪いのー?ちょっとカンベンしてよミドチーン」
「オレは3位だ。問題ないラッキーアイテムも持っている。悪いのは…青峰だ。最下位だったのだよ」
『…そう、ねえ』
「…何事もなければいいがな…」
恐らく大輝は今日この試合で完全に才能が開花するのと同じく、バスケへの面白さを無くしてしまう。だけどここには手を出さないことにする
これは白金監督と、テツヤの仕事。整列の指示が出たのでキセキ達5人がコートへ向かう。大輝の足取りはいつもより軽そうだった
「それではこれより、帝光中学校対上崎中学校の試合を始めます。礼」
「「よろしくお願いします!!」」
試合は進んでいく。大輝の動きは昨日までの様子とまるで違う
第4Q残り3分で150対81、リードしているのはもちろん帝光。ここまで点差をつければひっくり返すこともむずかしいだろう
井上さんが完全に戦意喪失しドリブルしてくる大輝に止めることもなにもすることなくスルーする
そのままレイアップシュートを決めた彼は、やる気を失った彼を失望した目で見る
「いるわけねえだろおまえとやれる奴なんて…イヤミかよ」
その瞳に彼は傷つく言葉を重ねた。乾いた笑いが出る彼に、テツヤはいつも通り拳を差し出す
「テツ…お前の言ったことは間違ってねぇと思う。けどやっぱ…ダメだわ、なんか気づいちまった」
「!?」
「オレの欲しいもんは…絶対見つかんねぇ。オレに勝てるのは、オレだけだ」
「…え?」
『う、わ…』
拳を交わさない彼らをおかしいと思ったのか他のみんなも心配しているようだが、試合中のため詳細は聞くことが出来ない
なにもしないと決めたのは自分だが、実際に見てみるとかなり心にくるものがあった