第34章 全中と決意
翌日、全中初日リーグ戦が始まる。昨年優勝した帝光中の試合のせいなのか観客席は立ち見まで出ていた
「…な、なんスかこれ……初日から超満員…!?」
「初日からはさすがに初めてじゃないー?」
「…ああ」
「……」
それぞれの緊張で空気が張り詰める中、整列のアナウンスが入り歩き出す
彼らの足取りは変わらないように見えるが、手は震えているように見えた
「ありゃ?うわオレもしかしてキンチョーしてる?」
「あー、こればっかはしょーがねーな」
『もー普段通りやれば十分だから、いつも通りやってきな』
そう涼太と大輝に言ってもプレイッシャーは変わらない
帝光の選手は優勝しか許されずに、観客やマスコミもそれを期待するあまりに負けも苦戦もダメで、負ければ非難の嵐がおきる
最強だからこそのプレイッシャーは、とても重い
あたしはまだ負けた帝光を見たことがないが、中学生にそんなことをさせてどうなのかとも考える
「クソ重いギブス着せられるようなもをだ。こればっかりは、天才も凡人も大差ねーよ」
『…虹村先輩が珍しく真面目に語ってる!』
「珍しくは余計だ」
虹村先輩の隣に座って体調管理のバインダーを持ち、試合が始まるのを待つ
ピッと笛が鳴ったとともにボールが上がり、紫原から征十郎へとボールが回された
リスクはあったが涼太にも回せるボールは緑間へと渡り、彼はいつもどおり3Pシュートを撃つ
「ありゃ」
放ったボールはリングに当たったがネットを潜る。それでも緑間の放ったシュートがリングに当たるのは珍しい
精神的に身体が重くなってるいるのだろうと推測するが、心配はしていない
第1試合は征十郎の慎重なゲームメイクにより、派手さは欠けるが勝利
続く第2試合も虹村先輩達3年生が中心の慎重なゲームメイクにより帝光の勝利
そうして帝光中は今年も決勝トーナメントへの出場が決まった