第33章 海に行こう
『指が首にあたるの、不快』
「紐を結ぶ限り無理なことなんだが」
『だよねー…我慢する』
「でも、紐を結ぶのを頼むのがオレで良かったよ」
『なんで?』
「オレ以外の男が名前の首に触ると考えると、少々妬けてしまうよ」
『何言ってんの?わかめ食べた?』
「食べるわけないだろう」
『嫌いだもんね』
そうだ征十郎じゃなくさつきに頼めば良かったのかと、またも彼女が投げ飛ばされて起こる水しぶきを浴びながら考える
でもさっき結んでもらってほどけたからなーと意識を逸らしながら考えていると、後ろから「出来たよ」と声がかかった
『ありがとーこれでもうほどけないでしょ』
「ああ。固く結んでおいた」
「…オレ達のこと忘れてないっスか?」
『え、ごめん』
「ボクは慣れてるんで大丈夫です」
「…それ悲しくないんスか?」
「いえ、悲しくないです」
「…黒子っちって…本当男らしいっスよね」
『見た目ヒョロッヒョロなのにね』
「え」
『でもそのギャップもいいと思うよ』
テツヤの髪をわしゃわしゃと撫でて微笑む。視界の端で怒ったさつきが大輝のことを沈めており、緑間が焦っている様子が見えるが自業自得だ
目の前にいるテツヤはあまり納得した様子ではなかったが、少し嬉しそうな表情を浮かべていた
そこから皆でボールを落とさないようにして遊んだり、涼太を始め色んな人がナンパされたり
いい時間帯になってきたからか、意識しないと人とぶつかってしまうほどに周りに人がいた