第33章 海に行こう
『あたしもうここから動かない』
「泳げないからっスか?」
『水着姿を晒したくない』
「そう言われれば名前さんパーカー着てますね」
『紫原の』
「浮気っスか!?」
『違うしそもそも付き合ってないわ』
体育座りをしている状態の膝をさらに曲げ、体を縮こませる
なんだか小さいころに行ったしゃがんでるところを囲まれ周りを回られて後ろにいるのが誰か当てるゲームを思い出す
「オレとりあえず焼きそば買ってくるわ」
「あ、待って青峰君!」
「オレもかき氷食べ行く~」
「待つのだよお前ら!勝手に動くんじゃないのだよ!」
『お母さん大変だな』
「名前さんせっかく海に来たんですから一緒に遊びましょう?」
『…分かった』
確かにここでウジウジされている方が彼らにとっては迷惑だろう
そんな迷惑をかけるのも申し訳ないし、そもそもあたしの水着姿見る人なんて一緒に着てるメンツ意外に居ないだろうと考え紫原のパーカーを脱ぐ
「名前、っち」
「…ビキニを買ったのかい?」
『いや、ワンピース部分と合体できるタイプを買ったんだけど…ワンピース部分を忘れちゃって』
「だから下がスカートなんですか」
『うん。見苦しくてごめんね』
「いや見苦しくないっスよ!超かわいい!」
『アリガトヨ』
「だからなんでオレが褒めると棒読みになるんスか?!」
紫原から借りたパーカーを畳みつつ怒っている涼太を受け流す
引っ付こうとしてくる彼に「流石にいつもより肌面積が多いからやめてくれ」と言いつつ会話をしながら、食事を買いに行った彼らを待つことにした