第5章 新入生歓迎会
『ふぅ…生き延びたぁ…』
「すんませんっス」
『別に大丈夫。最悪置いてから』
「…そうっスか」
彼は特に絡むつもりがないらしく、何も話しかけて来ない
会話もなく5分くらいその場でじっとしていると、外からまた女性の声が聞こえてくる
「ここ、空き教室誰かいそう」
「順番に見てこっか」
そう言った先輩は隣の教室を開けたようだった。ここもそのうち開けられてしまうだろうと悟る
女性なら逃げきれなくもないだろうが、挟み撃ちにされたら厄介だと考えた
『黄瀬君、こっち』
「は、はいっス」
しょうがないので窓から外に出る
校舎沿いに身をかがめて歩いていたが、後方から声がかかった
「いたぞ!あいつ女が騒いでる黄瀬とかいう奴だろ!」
『…ほんと目立つんだよな』
「あ~~やばい!どうするんスか!」
『飲み物買う』
「飲み物買ってる場合じゃないっスよ!」
ズボンのポケットから小銭を取り出し急いで炭酸水を買う。1本を黄瀬に渡した
先輩が2人近づいてくるが意外と早くない。もう一本買えそうな余裕はある
『振って』
「はあ?」
『いいから振って』
取り出し口から同じ炭酸水を取り出し黄瀬の手首を取って走る
前方に非常階段が見えてきた。このままでも逃げられそうだがせっかくなので迎え撃つことにしようと、どこかで悪い自分が居た
「ちょっとアンタ!なんで止まるんスか!?」
『撃退しようと思って』
近づいてきた先輩に炭酸水を開け、噴射させる。あらかじめ振っていた勢いよく噴射され先輩達の顔に、身体にぶち当たった
隣の黄瀬が同じことをする。勢いが弱くなってきたところでペットボトルごと投げその場を逃げる
『ほら行くよ』
「は、はいっス」
だがこんなことをしたところで先輩たちは足止めを食らうだけ
そのままあたし達を追いかけてくるので、久々に体育以外で全速力で走り、逃げることにした