第32章 巻き込まれた夏祭り
その後、宝石を届けにテツヤとさつきとあたしで警察に行くと、事情聴取から解放された時には9時を回っていた
送っていくと言ってくれた警察の方のご好意を断って疲れた足で歩く
「なんか慌ただしかったなぁ…」
「そうですね。事情聴取にけっこう時間が取られました…」
『事件に巻き込まれるって怖いね…』
とぼとぼ歩いていると、道路脇の植え込みにキセキ達が座っていることに気がつく
同じことに気がついたテツヤとさつきはあわてて駆け寄り、話し掛けていた
「みんな、どうしたの!?」
「3人を待ってたんスよ」
「ずいぶんと時間がかかったな。もっと効率よく説明はできなかったのか?」
「ふ菓子、食べる?」
「大変だったな。犯人に灰崎のような奴がいなかったのは、不幸中の幸いだ」
『いや灰崎そんな悪い奴じゃないよ』
「んじゃ、行くか」
『ねえ聞いてる?』
大輝が立ち上がると、他のキセキ達も立ち上がり始める。さつきが「どこへ行くのか」と尋ねると、青峰は花火だと答えた
涼太は道路に置いたお徳用花火セットを持ち上げて良い笑顔をした
「夏祭りの最後は楽しく花火が定番っスよ!」
「1日の終わりが、警察ではかわいそうだからな」
「行きましょう、桃井さん」
「テツ君…」
うっとりとした顔を浮かべたさつきだが、今の時間を思い出したのかすぐに顔が青くなった