第32章 巻き込まれた夏祭り
「おもしれーこと、やってたんだな!」
「笑いごとではありません」
「テツ君、あの人達はいったい誰なの?」
「桃井さんをナンパしてきた人たちです」
「え?ナンパって…今日いっぱいあった、あれ?」
「そうです。正確には、たこ焼き屋の前でされたものから、ジュースをかけた人までですね」
「ジュースって、緑間っちが濡れたやつっスよね?あれはナンパじゃないスよ?」
「そうです。でも彼も仲間でした
気づいてましたか?あの人達に共通点があるのを」
テツヤは自分の手の甲を指差し「ここにトカゲのタトゥーがあったのを、見ませんでしたか?」と言った
普通なら気が付かないが彼が普段から行っている人間観察の賜物だろうと考える
「そういえば…!」
「最初は偶然かと思ったんですけど、4回目の人もやっぱりトカゲを彫っていたので、ちょっと変だなって」
『それでだるまを探しに行くふりして後をつけたら色々分かってね。そこでさつきが来たんだよ』
「だから、林の中ですぐに私を助けてくれたんだ…」
「黒子っちって、ほんっとそういうとこ大胆だよね…」
「それで、やつらの目的はなんだったのだよ」
「彼らの目的は、桃井さんからこれを取り戻すことでした」
ポンッと休憩所の机の上に置いてあるクマのぬいぐるみに手をのせる
「え、これ?」
「彼らは、このぬいぐるみに大事なものを隠した、と言っていました」
「隠す……?」
ぬいぐるみを手に取りチェーンソーなどが飛び出ているリュックのふたを開けると、中から小さなキラキラしたもの
本物の宝石が出てきてみんなが目を見開く
「!」
「…見れましたね、すごいもの」